代表取締役社長前原 正憲

背水の陣ではじめた
オリジンスタイル

当社の前身はマミー弁当という弁当屋で、私は大学生時代にアルバイトをしていました。当時は中華業態のレストランと弁当屋11店舗しかない小さな会社でした。卒業間近に創業者である安澤英雄から「社員にならないか」と誘われて1984年に入社しました。当時周りからは「大学を出て弁当屋か」と揶揄されました(笑)。その当時、コンビニエンスストアが台頭しており、近くにコンビニが出店した店舗は売上が大幅ダウン。閉店を余儀なくされた店も出ており、もはや今までと同じことをしていては立ち行かないという状況でした。そこで、海外のデリカテッセンを参考に、惣菜を並べて量り売りするというアイデアを思いつきました。コンビニでは絶対にできないモデルであり、差別化も図れると考えたのです。
当時私が店長だった店舗をそのスタイルに転換しました。少しでも綺麗に見えるよう照明も自分たちで購入して設置したのを覚えています。当初は商品数も少なく、期待と不安の中でのオープンでした。しかし、このスタイルに変えたことで近隣の会社で働く女性が多数来店するようになりました。店内は女性であふれ、それまでの倍以上の売上げになったのです。この成功で「いける」と確信した私たちは全店舗をこのスタイルに切り替えました。ここから「オリジン弁当」の躍進が始まったのです。

2004年をピークに
右肩上がりの売上が止まった

オリジン弁当が24時間営業を始めたのは、コンビニエンスストアと同じ土俵で戦うためです。営業(店舗)の最前線にいた私は、当社を中食(テイクアウト)のリーディングカンパニーに成長させるべく働きました。コンビニの真横に店を作る戦略で、2004年まで売上は右肩上がり。目標としていた1,000店舗達成も夢ではないと思っていました。
ところが、2005年あたりから売上がダウン。大手を含む小売業や外食企業がオリジンスタイルを真似てテイクアウトメニューに注力したため、そのあおりを食ったのです。再び多くの閉店を余儀なくされました。2006年にイオングループの一員となり、グループのスーパー内でオリジンの惣菜を販売するなど、新たな事業がスタートしましたが、私たちには路面店で勝負したいという自負がありました。それまで路面店を何百店舗も運営してきたのです。ビジネスモデルを探し出すのは容易なことではありませんが、「必ずヒットする業態はある」と信じて、トライ・アンド・エラーを繰り返していました。私が社長に就任したのは、そのまっただ中。2012年のことです。
ただちに取りかかったのは、本部と営業本部の一体化でした。かねがね本部と営業のセクションの壁を取り払いたいと思っていました。私は店に出てお客さまの声を聞くことがよくありますが、お客さまから見れば私は社長ではなく従業員の一人です。アルバイト、パートさんと一緒だと思っているからなんでも話してくれるのです。売上が伸びない、利益が上がらないのは営業の力不足かというと、それだけではありません。他の部署にも知恵を絞ってもらい、強力にバックアップする体制が必要と考えました。思惑どおり、本部が営業のために力を尽くす風土に変わっていくと、うまく回り始めました。

新たなフィールドへのチャレンジ

オリジンの運命を変えるアイデアも生まれました。「中食×外食」という新業態です。2014年からオリジン弁当を、イートインスペースを備えたキッチンオリジンに転換していくと、翌年の営業成績がV字回復しました。ここが仕かけ時と直感し、フリースタイルレストランの出店を急ぎました。キッチンオリジンの外食を強化した新発想です。2016年にフリースタイルレストランの1号店をオープンしたときの衝撃は、オリジン弁当1号店をオープンさせたときに勝るとも劣らず、「こんな店を待っていた!」というお客さまの言葉に手応えを感じました。デリカでは、コンビニエンスストアにも負けない路面店の最強モデルだと思っています。
キッチンオリジンもフリースタイルレストランも店内で食事ができますが、フリースタイルレストランのイートインスペースはレストランのような雰囲気で、イートインメニューが充実しています。もちろん、テイクアウトメニューを店内で食べることもできます。朝から賑わっているアメリカのファミレスをイメージし、150円で朝定食(ごはん、生卵、シジミの味噌汁)を提供すると、お客さまのインサイトを捉えました。お客さまはその日の気分や体調に合わせて、サラダやだし巻きたまごなど、好きな惣菜をプラスしています。早朝に来店してみてください。オリジンほど朝から惣菜が充実している店はないと思います。それが信用になるのです。

フリースタイルレストランで
未来を築く

私たちは、このフリースタイルレストランで未来を築こうと燃えています。これまでは駅前の一等地で勝負してきましたが、フリースタイルレストランは立地を選びません。郊外でも勝負できるモデルです。すでに東京郊外、神奈川、千葉の郊外に出店し、予想を上回る売上を上げています。郊外にはコンビニなどが撤退した土地がたくさんあるので、2025年頃にはキッチンオリジンとフリースタイルレストラン、合わせて1,000店舗を目標にしていますが、その半数はフリースタイルレストランになると推測しています。
店舗が増えれば増員が必要です。工場を増やせば品質管理ができる人が必要です。今後は、研究所をつくり、科学的な根拠をもとに開発していくことも求められると思うので、さまざまな分野に興味のある人と手を携え、知恵を絞って、オリジンブランドを人々の暮らしになくてはならないものに育てていきたいと思っています。